文部科学省は25日、令和8年度から高校で使われる教科書の検定結果を公表した。選択的夫婦別姓制度について、公民のほか、家庭の全教科書で扱われるなど前回より記述が増加した。LGBTQといった性的少数者について掲載する教科も増え、家族のあり方やジェンダー(性差)をテーマにした学習内容が広範に網羅された。
現行の学習指導要領に沿った高校教科書の検定は2年度に続く2回目となり、専門教科を除く11教科236点が合格した。また、前年の中学校の検定で不合格となった技術・家庭科の教科書1点が再申請されたが、指摘箇所が十分に修正されていなかったため再度不合格となった。
選択的夫婦別姓に関する記述の増加について、文科省教科書課は「発行者が社会的なトピックを捉えて掲載すると判断した」と推測する。
一方、公民では、教育図書が、いわゆる元徴用工問題を解説する中で、「第二次世界大戦中に、朝鮮半島から日本に連行された朝鮮人」と記述。「連行」の表現を不適切とする政府の統一的見解に反するとして検定意見がつき、「動員」に修正された。
同社は、戦後補償についても、昭和40年に締結された日韓請求権協定に基づき解決済である政治問題について、未解決な点があるかのように記述していたため、検定意見が付された。
領土問題では、公民で竹島(島根県隠岐の島町)が2点、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が1点、日本の「固有の領土」と明記しておらず、北方領土についても、領有権の有無をめぐって1点検定意見がついた。
デジタル教科書を「正式な教科書」と位置づけ、紙の教科書と選択できる制度の導入が検討される中、動画や音声などにアクセスできる「QRコード」(2次元コード)が大半の教科書に掲載された。
2025/3/25 15:03 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20250325-3PL7VQJRWFLPFENMVKB2IIEZU4/