地上に入り口なのに「地下1階」?西宮のコープ甲陽園 謎解くカギは高級住宅並ぶ山手の地形
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202208/0015560985.shtml
2022/8/17 05:30 神戸新聞NEXT
兵庫県西宮市新甲陽町にあるコープこうべで、地上に入り口のある食料品フロアが「地下」と表示されているのはなぜ? 神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、そんな疑問の声が寄せられた。1階と思った階がそうではない建物は他にもあり、実は宝塚市役所も同じような造りになっていることを、別の短い記事で伝えたばかりだ。その理由は、いかに?(西尾和高)
■案内板には地下と明示
問い合わせがあった建物は「コープ甲陽園」。実際に訪ねると、確かに食料品フロアは西と南の2カ所に入り口があり、どちらも周辺の道路から階段を使わず水平に入れるので地上1階にしか思えない。その上の階には日用品フロアがあり、建物の外観はどう見ても地上2階建てだ。
しかし、店内の案内板を見ると、食料品フロアは地下1階と表示され、実は地上1階、地下2階の構造らしい。地下2階は駐車場となっている。
コープこうべ広報室(神戸市)などに聞くと、1990年秋の完成に向けた設計時に建築士が作成した「建築確認申請書」の通りに書いているとのこと。当時に関わった職員はもういないので、詳しい経緯は分からないという。ただ、こんな示唆をされた。
「あの辺は一帯が傾斜地のような地形だからではないですか?」
それは的中していた。
■境界は「地盤面」にあり
西宮市によると、答えは建築基準法にある。
そもそも建物には、その高さを算定する基礎となる「地盤面」を設定しなければならず、それが地上と地下を分ける境界になる。
一般的に地盤面は周囲の土地との水平面を指すが、敷地内に高低差が3メートル以上ある場合は平均を取ることになる。そして部屋の床面-地盤面の高さが、床面-天井の3分の1以上あると「地下の階」(地階=床が地盤面下にある階)に。逆に3分の1に届かなければ「地上1階」になるというのだ。
コープ甲陽園の周辺は傾斜地に広がる高級住宅街で、北側から土砂が崩れてくるのを防ぐための擁壁が食料品フロアの周囲に築かれている。それは北側で最大高さ3メートルになり、地盤面が床面より高くなった結果、「地下」になったという。
「店の案内表記は食料品フロアを地上としても問題はありません。ただ、法律に基づけば地下になる、という話です」と西宮市の担当者が教えてくれた。
■宝塚市役所には「G階」
商業施設だけでなく、家屋なども同じ考え方で設計、建築されている。
宝塚市役所でも、東側にある地上駐車場を抜けて庁舎エレベーターに入ると、1階にいると思いきや「G階」と表示されている。
(略)
※省略していますので全文はソース元を参照して下さい。