国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市、産総研)の研究データを中国企業に漏えいしたとして、
不正競争防止法違反(営業秘密の開示)に問われた中国籍の元主任研究員・権恒道被告(61)に対し、東京地裁は25日、
懲役2年6月、執行猶予4年、罰金200万円(求刑・懲役2年6月、罰金200万円)の判決を言い渡した。
馬場嘉郎裁判長は「国費が投入される産総研の研究者に対する信頼を裏切った」と述べた。
判決によると、権被告は2018年4月、産総研で自身が研究に従事する「フッ素化合物」に関する研究データを、
妻が代表の中国企業にメールで送り、産総研の営業秘密にあたる情報を漏えいした。
データについて、弁護側は、中国国内で行われた研究の成果で、産総研のものではなく営業秘密にも当たらないとして無罪を主張した。
しかし判決は、権被告や職員らが産総研の施設や機器を使って共同作成した産総研の研究成果物と指摘。
一般には知られておらず、「営業秘密」に当たると認定した。
判決は、権被告が営業秘密を悪用して中国でフッ素化合物の大量生産を目指し、不正な利益を得る目的を持っていたと言及。
「高度な技能や知見を持つ外国人材の活用が重要視される中、今回のような事態が生じると、外国人材の活動の規律のあり方にも懸念が
生じかねない」と述べた。
産総研は判決を受け、「再発防止の徹底に努める」とコメントした。
2025/02/25 23:04
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250225-OYT1T50178/